tetsuwan blog

鉄ワン(@tetsuwan30)の気ままなダイアリー

夕焼け発電

原子力が初めから危険だと思われてなかったように、夕焼け発電も純粋な技術革新だと思われていた。それでも一部の人間は勘付いていたかもしれない。キュリー夫人の生涯や、デーモンズコアのような悲劇。多分おそらく同じことが起きるのではと。


人類は夕焼け発電という、新しい技術を手に入れた。従来の太陽光のエネルギーの中でも、可視化された光線の加減によって圧倒的なエネルギーを得るという革新的なものだ。


発見されたきっかけは、意外とアナログで、誰しもが感じる夕焼けが広がる情景、マジックアワーとか言ったりする、あの光が世界を包み込む感じからだった。


見た目が分かりやすいこの発見は、代替エネルギーとして急速に普及する。夕焼けが世界を包むように世界のエネルギー事情は一気に変わっていった。既存の資源は高コストなものになり、経済も社会も政治も全てのプレイヤーが一転した。


すると、真っ黒な闇の中浮かぶシミのような星のように、今まで見えなかったものが見えてきた。それもそのはずである。抑圧されていた人々が今まで経験したことが無いような力を振るった。


静かな夜だと思われていたのに、全てを救うと思われたのに、叙情的で明確な正しさは呆気なく否定された。そして夜更けにふと人々は思った。夕焼けを見た時に感じる涙は、感動ではなく哀しみであったということを。そして本当の希望を求めて、じっと夜明けを待つために、自分を導き出す星を探すのだと。

 

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